本書の扉および題簽による巻頭に明治17年小澤圭の識語があります。
印記: 小澤皆園寄賞之印, 小澤圭, 瑞卿, 小澤文庫
近代日本の造園研究の先駆者・小沢圭次郎天保13年(1842)~昭和7年(1932)は、桑名藩の医官である小沢長安の次男として生まれ、幕末から明治時代にかけて活躍しました。
小沢圭次郎は多くの名士の庭を手がけ、各地の公園の新設や改良にも貢献しました。
代表作には、伊勢神宮内苑および外苑の築造と改修、奈良公園の改良案、堺市の大浜公園、桑名市の九華公園などがあります。また、日英博覧会の日本風林泉の設計も手がけています。
彼の著作「明治庭園記」は、幕末から大正初期にいたる皇室から各地の大名、政治家、豪商、社寺所有の庭園群の沿革や現況を記録しており、多くの写真や図面が掲載されています。そのため、日本の庭園状況を知る上で貴重な文献とされています。
小沢圭次郎は「設景」という言葉で設計を表現しており、また他の著作で謎の人物増円の著書『山水並野形図』を紹介しています2。彼の業績は日本の庭園文化に大きな影響を与えました。