作者の喜斎立祥 (きさい りっしょう) は、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、二代目歌川広重のことです。彼の描いた「三十六花撰」は、慶応2年(1866年)に出版された錦絵揃物で、江戸市中および近郊の名所を背景に、四季折々の花を描いた作品です。
三十六花撰の内容
全36枚からなる錦絵揃物。(本資料は、31枚)
江戸の名所を背景に、梅、桜、牡丹、菖蒲、朝顔、菊など、36種類の草花が描かれている。
各図には、草花の名称、場所、歌川広重の落款が記されている。
特徴
当時の江戸の人々の花見の様子や、風景、風俗が生き生きと描かれている。
広重の特徴である遠近法を巧みに用いた構図や、鮮やかな色彩が美しい。
花の種類だけでなく、梅屋敷の臥竜梅や、不忍池の蓮など、名所と結びついた花の名所が選ばれている。
『三十六花撰』. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1307482