嘉永6年(1853)序。本草通串証図(ほんぞうつうかんしょうず)は、著者は富山藩第十代藩主・前田利保(寛政12年(1800)~安政6年(1859))の命で編纂された植物図譜です。
前田利保が先に著した本草書である『本草通串』の付図として編まれました。図は富山藩の絵師が描いています。国立公文書館所蔵。
(全5冊ですが、国立公文書館で所蔵しているのは巻1、巻2の2冊のみです。)
利保は幼少時から植物に関心が高く、江戸藩邸で200種以上の朝顔の品種を栽培、本草学者の岩崎灌園などに師事し、同好の士と「赭鞭会」という研究会を作り、本草学や博物学の知識をさらに深めるながら、相次ぐ凶作などで藩財政が困窮していたため、産物方を設置して薬草栽培などの産業を奨励して財務再建を図りました。
その成果を『本草通串』(94巻56冊)として出版しましたが、同書は、漢文で書かれていたうえ図版を欠いていたため、実物の植物と照らし合わすことができず、その不備を補うために本書が出版されました。植物図は藩絵師である山下守胤らによって描かれ、仮名交じりの平易な解説が添えられています。
本草通串証図 一
本草通串証図 二
本草通串証図
国立公文書館デジタルアーカイブ
https://www.digital.archives.go.jp/file/1257178